――それからのことは、なかなかに大変だった。

 なにせ長年隠されていた皇后と皇女の存在が体育祭での一件に乗じて明るみとなり、九条家当主が引き起こした事件がすっかり隅に追いやられてしまうほど、帝国中が大騒ぎとなってしまったのだ。

 正直なところ、お母さんと陛下の婚姻は皇族のしきたりを破ったものだ。
 その間に生まれた半妖の皇女など、きっと受け入れてもらえないだろうと思ってた。

 しかし予想に反して、おおむね帝国民からの反応は良好。〝しきたりを破ってでも愛を貫いた〟というのが、多くの人々の心に刺さったらしい。
 風の噂では、今度お母さんとお父さんの馴れ初めを基にした映画も上映されるとか。お願いだから、それだけは止めてほしいものである。

 ……まぁそんなこんなで、勝手に妄想を(たぎ)らせて盛り上がる帝国民に一抹の不安を覚えたのだろう。
 ある日皇帝陛下が、私とお母さんを皇宮に招いて告げたのだ。


『正宗と話し合った結果、まふゆと風花のことを正式に皇宮から発表することとした。後日お披露目の儀も行うので、そのつもりでいなさい』


 ――と。