「お願いです陛下! 私に皇族に伝わる秘術を教えてくださいっ!! 〝お母さんを人間にした〟その全能術を!!」
「――――!」
まだこれは推測でしかない。
けれど確信をもって言うと、陛下と、その背後に居るお母さんが、大きく目を見開いた。
「まふゆ、アンタ……、どうしてそのことを……?」
「まさか正宗が?」
「い、いえ。あの時は時間が無く、私は皇女殿下にそこまでは……」
三人の会話を聞くに、やはり予想は正しかったようだ。私はどうしてその答えに至ったか、言葉を続ける。
「知ってた訳じゃないよ。ただ……」
思い出すのは、地下室での宰相さんとの会話。
『実際とてつもない代物です。何せ全能術ならば、いかなる事象をも変えることが出来るのですから』
「宰相さんはあの時、〝出来る〟と断言していた。つまり全能術は紛れもなく存在するって、知っていたってことでしょ?」
「あ……」
「お母さんは葛の葉さんから身を隠す為に雪女から人間になった。でもどうやって? 妖怪が人間になるなんて荒唐無稽な話、それこそ〝あらゆる事象を変える力〟を使ったとしか思えないじゃない」
「…………」
お母さんと陛下が同時に黙り込む。無言は肯定ということなのだろう。
で、あるならば……。
「いけません!! 姫様っ!!!」
「!?」
と、そこで三日月さんの静止する声と共に、ボッ!! と豪火がお母さんと陛下目掛けて放たれた。
「皇帝陛下っ!!」
しかし体育祭で見せたものよりも格段と弱々しいそれは、すぐさま木綿先生によって消し去られてしまう。
「おま……、お前達は……っ!!」
だが、そんなことは彼女にとってどうでもいいのだろう。
肩を怒らせ、ボロボロと涙をこぼしながら、葛の葉さんが叫んだ。
