「まぁ簡単に言うと、雪守さんと九条くんが出会ったことで、止まっていた運命の歯車が回り出した。そういうことですよ、正宗様……」
「!! 先生っ、後ろっ!!」
先生がへらりと笑った直後、鉄扉にモロに頭をぶつけて伸びていた暗部達が復活し、無数の狐火が放たれる。
「――遅いっ!!」
しかし暗部長さんがすぐさま応戦し、あっという間に狐火は消え去った。
だがまた次の狐火、そのまた次の狐火と、次から次へと放たれてキリがない。
「宰相様、この場は私にお任せを! 早く皆様はお外へ!!」
「かたじけない、三日月殿!」
「あ、あの! 暗部長、わたしも……!」
私達が地下室を出る中、朱音ちゃんは暗部長さんへと進み出る。
しかしそれに対して、暗部長さんは首を横に振った。
「ここは私一人で食い止めます。朱音、貴女はとにかく先へ。なんとしてでも、皇女殿下を神琴様の元へお届けする為の道を作るのです。……いいですね?」
「は、はいっ!!」
三日月さんの言葉に朱音ちゃんはまるで軍人のようにビシッと敬礼し、ブンブンと何度も頷く。
あれ? そういえば朱音ちゃんはまだ、暗部長が〝ばあや〟だってことを知らないんだっけ?
教えてあげたいのは山々だが、さすがに今はそれどころではない。とにかく急いで地下室を脱出する。
――ドーーーーンッ!!!
「!!?」
すると外に出た途端、激しい爆発音が辺りから響いて、私達は顔を見合わせた。
「こ、今度は何っ!?」
「きっと蛟と鵺だ!!」
「へっ!?」
「実は庭園の方にも暗部達が居て、二人はそっちと応戦してたの!!」
「ええっ!?」
「上です、みなさんっ!!」
木綿先生が叫び、上に向かって指を差す。
それに空を見上げれば、屋敷の瓦屋根の上で蛟と鵺の姿になった雨美くんと夜鳥くんが、妖狐の姿となった暗部達ともつれ合い、威嚇し合っている。
その様相はさながら妖怪大戦争のようだった。
