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「ちょっ……! ちょっと待ってください! 宰相さんっ!!」
出だしからあまりの情報過多に、私は慌てて宰相さんの話に待ったをかける。
すると彼は不思議そうにしながらも、話を止めて私を見た。
「……何か?」
「い、いえ! 今いくつか聞き捨てならないことが……! お母さんが雪女一族の次期当主!? しかも紫蘭さんとあのトンデモ当主……じゃなくて、九条葛の葉が婚約者同士って……!!?」
矢継ぎ早に問うと、宰相さんが「ああ」と声を上げる。
「失礼、これもご存じありませんでしたか。風花殿は雪女一族当主の娘です。帝都の高校にわざわざ通われていた理由は、閉鎖的な一族の未来を憂いて見識を広める為だったそうですよ」
「じ、じゃあ、今雪女一族はどうなって……?」
「今は風花殿の妹君が当主をされているようですな。現状は遠方なことと、やはり閉鎖的な一族ですので、皇宮でもあまり把握しきれてはおりませんが」
「妹……」
お母さんに妹が居たなんて知らなかった。
しかも次期当主なんて立場だったのなら、お母さんが居ない22年間、さぞその妹さんは大変だったに違いない。
お母さんだってそんなことは分かっているだろうに、どうして――。
「頭で分かっていても、どうしても譲れないものもある……ということでしょう。陛下と風花殿は茨の道であると分かっていても、その道を選びました」
「え……?」
「陛下には当時、幼少より定められた婚約者がおりました。また皇族は人間としか婚姻を結んではならないという、しきたりもあります。二人が結ばれるにはいくつもの壁があった。けれど乗り越えて今がある」
「ちょっ……!! ちょ、ちょ、ちょっ!! 待ってください、宰相さんっ!!」
またも聞き捨てならない言葉に待ったをかけると、宰相さんは先ほどよりも少し不機嫌そうにしながらも、話を止めて私を見た。
