これは時を(さかのぼ)ること、22年前。
 陛下達がまだ日ノ本高校の学生だった頃の話です。

 当時の生徒会には、ある四名の人物が在籍しておりました――。


「あっ! 葛の葉(くずのは)紫蘭(しらん)、おっはよー! 今日の全校集会頑張ろーねー!」


 一人目は北の極寒の地カムイより、雪女一族の次期当主として、見識を深める為に日ノ本高校へと通っていた、雪守(ゆきもり)風花(かざはな)


「はぁ……風花、そなたは毎朝毎朝、元気じゃのお。何がそんなに楽しいのか、ゲラゲラ笑いおって」

「あはは、でも女の子はそれくらい元気な方が可愛いよ」

「なんじゃ紫蘭。つまり陰気な(わらわ)は可愛くないということか?」

「めっ、滅相もない! 葛の葉様はとても可愛らしいですよ! もちろん!」

「……ふん」


 二人目は三大名門貴族のひとつ、妖狐一族九条家の次期当主である、九条(くじょう)葛の葉(くずのは)
 三人目は、その彼女の婚約者であった九条(くじょう)紫蘭(しらん)

 そして……、


「ははは!! お前達は全員朝から元気だぞ!! なにせ廊下まで話し声が聞こえてきたからな!!」


 最後の四人目は、他の三人より遅れて生徒会室に入って来た一際目立つ男子生徒。
 彼こそが後の日ノ本帝国皇帝となる、國光(くにみつ)殿下でした。


「……殿下。殿下こそ、人一倍声がでかく、騒がしいですぞ」

「おお、そうだったか! それはすまなかったな、正宗(まさむね)


 ……ちなみに影の五人目は、当時より陛下にお仕えしていたこの私、近衛(このえ)正宗(まさむね)

 当時の彼らは生徒会という輪の中で共に切磋琢磨し、仲はとても良好でした――。