私の言葉に九条くんが首を傾げる。どうやら先ほどの黒い妖力を九条くんは見ていなかったようだ。
そこで事のいきさつを掻い摘んで話すと、一瞬だけ九条くんの顔色が変わる。
「ん? 何か分かるの?」
「……いや、何も。確かに彼女達の豹変は不自然だ。けど、だからと言って雪守さんにしたことは無くならない。君は彼女達が俺を好きだからと言ったけど、だったらその気持ちは君にじゃなく俺にぶつけるべきだったと思う」
「ん、まぁそうだね……」
何か隠されたと感じたが、九条くんの言っていることは確かにその通りだ。どんなに好きでも本人に伝えなきゃ気持ちは伝わらない。
――想いは本人に言わなきゃ、何も始まらない。
「あっ、そういえばどうして私が校舎裏にいるって分かったの?」
「君、生徒会室に仕事しに行くって言ってただろ? あの後俺も雪守さんに確認事項があって、生徒会室に戻ったんだ。そしたら夜鳥が一人でいて、君は学食に行ったと言う」
そして学食に行ってみれば既に私はいなくなっており、周囲の生徒が私が九条くん親衛隊に連れて行かれたと噂していたそうだ。
つまりもし九条くんが来てくれなければ、今頃……。
「~~~~っ」
考えてゾッと身を震わす。
「……あの。ありがとう、助けてくれて」
「ん?」
「言わなきゃ伝わらないから。お礼、さっきちゃんと言いたかったのに、言えなかったから」
恥ずかしくてついボソッと早口になってしまったが、ちゃんとお礼を言えてホッとする。
「はー……」
「え、何!?」
しかし何故か九条くんが脱力したように項垂れて、自身の顔を手で覆う。
えっ、私なんか変なこと言った??
