「ぎゃあああ!! な、何これ、鳥マスク!? なんで!?」
夜鳥くんに手渡されたのは、いつかの文化祭の時に彼が身に着けていたものとそっくりの代物だった。
それに私は、ギョッと目を剥いて叫ぶ。
「あ? なんでってそりゃ、鬼役って一目で分からなきゃなんねぇし、生徒会全員このマスクを着けんだよ」
「嫌だよ、めっちゃ恥ずかしいじゃん! ……って、〝鬼役〟?」
聞き捨てならない言葉に問い返すと、なんてことのないように夜鳥くんが頷いた。
「そーだよ、鬼役。オレら生徒会がやるって、体育委員やってるうちのクラスの女子どもと決めたんだ」
「はあっ!? いつ!? そんなのボクら聞いてないんだけど!?」
「そりゃそうだろ、今言ったし」
「はああ!?」
あまりの驚きで完全に目が覚めた。
ていうかさっきから話を聞いてれば、うちのクラスの女子たち暗躍し過ぎじゃない!? どうなってるの!?
とにかくあまりの無茶振りに、九条くんも含めてみんなで夜鳥くんに詰め寄ると、「だってよぉ……」と、どこか不貞腐れたように呟いた。
「夏休み明けからずっと演劇だなんだで、生徒会で思いっきり活動する機会って少なかったじゃん? だから、オレ……」
「や、夜鳥くん……」
その大きな体格に似合わないか細い声に、私は毒気を抜かれて固まる。
夜鳥くんってば、そんなこと考えてくれてたんだ……。
普段ガサツだけど、実は結構繊細なんだよね。なんだかちょっとジンとしてしまう。
そしてそれは雨美くんと九条くんも同じだったのだろう。私の視線に困ったように苦笑して、頷いた。
「確かに夜鳥の言う通りだな。体育祭の進行は体育委員に任せきりだったし、これが生徒会が体育祭で活動する最後の機会だ」
「まぁそう言われちゃ、やらない訳にいかないよね。けどこの趣味の悪いマスクは着けないよ。ボクが変態だと思われちゃうじゃん」
「はぁ!? 変態!? カッコいいの間違いだろーが!?」
「そう思ってるのは、世界で雷護だけだよ。ボク達の顔なんて、うちの生徒ならみんな知ってるし、別に仮装しなくたって大丈夫でしょ」
「だな。このまま行くか」
「ええー! なんだよ、みんなツレねぇなぁー!」
「ふふっ」
ブーブー文句を言いつつ、夜鳥くんが九条くん達の後を着いて行く。
なんだかいつもの生徒会の調子が出て来て、私はこっそりと微笑んだ。
