「ふぁぁー。あ、雪守ちゃんお疲れー。九条様とのこと、みんなに受け入れられてよかったね」
「ありがとう。でも雨美くんこそ、結構お疲れじゃない? 眠いの?」
隣に座る雨美くんの大きな欠伸に苦笑すると、彼は眠そうに目を擦ってコクンと頷いた。
「うーん、お昼ご飯お腹いっぱい食べたしなぁ。それにさっきの借り物競争をかなりエキサイトして見てたから、その反動が来たというか」
「あー分かる。私もなんだかドッと疲れちゃった……ふぁ」
先ほどの緊張感から解放されたせいか、私の口からも自然と欠伸が出る。
ああ……。背もたれにもたれかかると、気持ちいなぁ。なんだか私まで眠っちゃいそ……。
「――おい」
夢の世界までもう間近というところで、それを咎めるような声色に肩を揺さぶられ、完全に閉じていた目を開ける。
すると何故か夜鳥くんが、腕を組んで不機嫌そうな表情でこちらを見下ろしていた。
「どうしたの、夜鳥くん? そんなコワモテな顔して」
「うるせぇ、顔は元々だ。それよりお前ら、まだ最後に〝重要な種目〟が残ってんのに、何寝ようとしてんだよ。まさか忘れた訳じゃねーだろーなぁ?」
「? 重要な種目??」
なんだろう? ぽやぽやしている頭で考えるが、何も思い浮かばない。
「生徒会の議題で決めただろ」
え、生徒会の議題? そんなの決めたっけ?
うーん……ダメだ。思い出せな――。
「さぁ、みなさん!! 盛り上がった今年の体育祭も、ついに次が最終競技!! 生徒会主催の鬼ごっこです!!」
「え」
「あ」
アナウンスが聞こえた瞬間、私と雨美くんが同時に声を上げた。
そ、そうだった! 〝鬼ごっこ〟!!
体育委員会に体育祭が盛り上がるような新しい種目を考えてほしいって、前に頼まれてたんだった……!!
でも〝主催〟って、どゆこと!?
確か生徒会はアイデアだけで、諸々のことは全部体育委員がするって話じゃ……。
「ほら、これは雪守のな」
「へ?」
戸惑っていると、夜鳥くんに何か布のようなものをぽすんと手渡される。
「? 何……?」
そしてそれを恐る恐る広げた瞬間、私は悲鳴を上げた。
