雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「さぁさぁ、みなさん!」

「!」


 と、そこで体育委員のアナウンスが競技場に響き、誰もがそちらへと耳を傾ける。


「あまりにも白熱したレースだったのですっかりお忘れでしょうが、借り物競争の勝者が九条氏とはまだ決まっておりません! そうです、クジに書かれた指定と借り出された人物が合っているのかまだ分からないからですっ!! では九条氏! クジになんと書かれていたか、発表してくださいっ!!」

「はい」

「!!」


 そ、そうだった! 木綿先生の猛追に気を取られて、結局九条くんが何を引いて私を借り出したのか聞けていなかったんだ……!
 私が見上げると、九条くんはクジを開いて、みんなに聞こえるようにゆっくりと読み上げ始めた。


「俺の引いたクジに書かれていたのは……、〝付き合ってる人〟です」

「え」

「…………」


 良く通る声はしっかりと観客席まで届き、シンと静まる。

 しかし次の瞬間――、


「えええええええええっ!!!?」


 絶叫が競技場中に響き渡り、悲鳴はいつまでもコダマした。


「神琴さまと雪守さんがぁ!? 最近甘ったるい空気が漂ってて怪しいとは思ってたけど、まさか本当に!?」

「うわぁ。薄々分かってたけど、明言されるとショックー」

「あああ、オレ達の雪守さんが……」

「でもなんか納得じゃね? 身分差はあれど、圧倒的美男美女だし」

「確かに。ビジュアルはめっちゃお似合いだよねぇ。先月の劇なんか私泣いちゃったし」

「うう……」


 みんなの声がしっかりとこちらまで届き、恥ずかしいやら気まずいやらで落ち着かない。
 まさかこんな形で付き合っていることを全校生徒に知られてしまうなんて……。

 九条くんが別の女の子と借り物競争しなくて済んだのはよかったけど、体育祭そっちのけでみんなが盛り上がっていて、あまりに居た堪れない……!
 騒ぎを静める方法を考えようと頭をフル回転させるが、混乱してまとまらない思考では何も浮かばないままだ。

 ど、どうしよう、どうしよう!?