雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「おい、まふゆ! そんなの許してもいいのか!?」

「ぅえっ!?」

「そうだよ、まふゆちゃん!! もし借り出されたのが女子だったら、絶対舞い上がって勘違いするよ!!」

「え、え……」


 楽しそうにはしゃぐ女子達の様子を微妙な顔で見ていると、突然カイリちゃんと朱音ちゃんが叫んで私に詰め寄った。
 それに目を白黒させていると、更に二人は言い募る。


「もしかしたらこれを機に、増長するヤツも現れるかも知れないぞ!!」

「そうそう! 『神琴さまと付き合ってるの、あたしー♡』とか言って!!」

「あ、あはは、それはさすがに……」

「――甘いわね」


 二人の大袈裟な物言いに苦笑していると、そこで何故かお母さんが呆れたように首を横に振った。
 なんだその、〝分かってないわね、こいつ〟みたいな態度……。絶妙にムカつくな。


「な、なに、お母さん? 甘いって……」

「いいこと? 女の子ってのは、些細なキッカケで夢と妄想を膨らませるものなのよ。朱音ちゃんに聞いたわよ、アンタ九条くんと付き合ってること学校では隠してるんですってね」

「そ……、それがなんだっていうの?」

「だったらアンタ達二人の関係を誰も知りようがないんだもの。カイリ達の言う通り、この借り物競争を機に行動がエスカレートする子も居ても、なんらおかしくはないわね」

「う」


 妙に説得力のある話に反論も出来ず、言葉に詰まっていると、更に追い打ちをかけるように朱音ちゃんが叫んだ。


「まふゆちゃんっ、風花さんの言う通りだよ! 『九条くんの彼女は私です』って、ちゃんと釘差しとかなきゃ!! まふゆちゃんは、神琴様が別の女の子と仲良く走っててもいいの!?」

「うう……」


 確かに競技とはいえ、九条くんが私以外の別の女の子と仲良く……。
 想像しただけでなんだかムッとするし、胸がモヤモヤする。

 で、でも、もう今更九条くんに出場を止めてもらう訳にもいかないし、そもそも女子が借り出されるって決まった訳じゃ――。