私と彼は同じクラスで偶然にも席が隣同士だ。その私の知る限り、2年生になって彼が教室で座っていたのは、2年最初のホームルームと、後はほんの数回ぐらいしか覚えがなかった。
もう一度言う。2年生になってもうすぐ2ヵ月が経つというのに、現在までの出席率がほんの数回である。
普通なら留年。運が悪けりゃ退学ものだが、そんな調子でも学年トップというのが大きいのか、彼のサボりは容認されているようだった。
確かにそんなサボり男の下に甘んじている時点で、私達に文句を言う資格は無いのかも知れないが、悔しいことこの上ない。
実力主義の世界は時として残酷である。
さっきは先生や生徒会メンバー達の手前、余裕ぶって出てきたが、実のところ私は九条神琴が苦手であった。
……別に学年トップを取れない万年2位の妬みではない。断じてない。
本能的に怖いのだ。
氷をいとも簡単に溶かしてしまう、火の妖力を宿す妖狐という存在が。