「おおーーっ!!」
「なんだ、めっちゃ美味そうじゃん!!」
お重の中身は唐揚げや卵焼き、ウインナーといった定番のおかずに、海苔で巻いた三角おにぎりだ。
男子組は貴族だし、こんな庶民的な具材は口に合わないだろうかとも思ったが、我が家で夏休みを過ごした今、今更だろう。
「いっただっきまーーす!!」
やはり心配は無用だったようで、みんな勢いよくお重に手を伸ばし、おにぎりを頬張る。
「あ、この握り飯すっぺ! 梅だ!」
「ボク鮭だった」
「こっちは昆布だな」
「へぇ、もしかしてみんな中身違うの? 朝早くて慌ただしかったでしょうに、頑張ったわね」
お母さんがおにぎりを食べながら感心したように言うと、カイリちゃんが照れくさそうに首を振る。
「いえ、三人でやったらあっという間でした。下宿先のおじさんとおばさんも手伝ってくれましたし」
「ああ! そうそう、それよ。カイリが下宿先のご夫婦と上手くやれてるか、魚住さん心配してたのよ? でもその様子なら上手くやってるのね。出来れば帝都に居る内にご挨拶に伺いたいけど……」
「それなら今ここに来てますよ、二人とも。ほらあっち」
「え」
カイリちゃんの指差す方を見れば、確かに今朝もお世話になった老夫婦が並んで座り、仲良くお弁当を食べている。今日もお店があると言っていたのに、応援に来てくれたのか。
私達の視線に気づいたのか、二人はにこにこと会釈してくれた。
「あらっ! なら早速ご挨拶してこなくちゃ! わたしはちょっと行って来るから、みんなはお弁当食べてなさい!」
「あ、だったらボクの親はあっちです」
「オレのはそっち」
「オッケー、了解よ」
雨美くんと夜鳥くんがそれぞれ自身の親が座る場所を指差し、それに頷いたお母さんが足早に駆けていく。
それを目で追ってみるとまずは老夫婦に声を掛けており、互いにぺこぺことお辞儀をし合ったかと思うと、あっという間に意気投合して話に花を咲かせているようだ。こうなったらお母さんはなかなか戻って来ない。
