お昼ご飯タイムに突入し、観客席がザワザワと席を立つ音で騒がしくなる。
今日は父兄も大勢応援に来ているので、この場で一緒に食事をする者や学校周辺のお店に行く者、学食に向かう者等、様々だった。
周りに倣うように、雨美くんと夜鳥くんも席から立ち上がる。
「はぁー飯だ飯だ」
「運動したから、お腹空いたねー」
「あ、もしかして二人はお昼の予定決まってるの? よかったらだけど、ここでみんなでお弁当食べない? 私とカイリちゃんと朱音ちゃんの三人で今朝作ってきたんだ」
そう言って私が持参したカバンから取り出した三段重ねのお重を見せると、二人は目を輝かせて叫んだ。
「ええっ! ホントに!? どうせボク達は親と食べるつもりだっただけだし、雪守ちゃん達の手作りならここで食べたい!!」
「あ、でも不知火も作ったって……」
あからさまにゲッと苦虫を嚙み潰したような顔をする夜鳥くんに、朱音ちゃんがむくれる。
「もうっ! なんですかその、すっっっごく嫌そうな顔!! 失礼ですよっ!!」
「あはは……」
ぷくっとハムスターのように頬を膨らませてむくれる朱音ちゃんは可愛いが、夜鳥くんのデリカシーのない反応も無理もない。
何故なら朱音ちゃんの料理の腕前は、ティダで私の家の台所を爆発させてしまうレベルなので……。
「大丈夫だよ、私とカイリちゃんが一緒に教えながら作ったし」
「うちの下宿先の厨房を破壊されたら堪んないからな。一挙手一投足きっちりと朱音の動きは見張ってたから、まぁ安心して食えよ」
「ええっ!? 二人とも妙にわたしをジッと見てるなぁって思ってたら、そういうことだったの!? もうっ! まふゆちゃんとカイリちゃんまでひどーいっ!!」
「ごめんごめん」
ぷんぷんと憤慨している朱音ちゃんの丸い頬をツンツンしたい衝動を堪えつつ、私はお重の蓋を開く。
すると中身を覗き込んだ面々から歓声が上がった。