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貴賓室から競技場へと移動した私達は、既に観客席に集まっていた生徒会のみんなや朱音ちゃん達と合流した。
「おーい、まふゆちゃーん! こっちこっちー!」
「あ、風花さん。お久しぶりです」
「お元気そうでよかったです」
「あー! 朱音ちゃんにカイリに、九条くん達も! みんなも相変わらず元気有り余ってそうね」
そこで久々のお母さんとの再会を、みんなが喜んでくれたところまでは良かった。
……が、ちゃっかり他の飲み物に紛れて泡盛を持ち込んでいたお母さんが、木綿先生を巻き込んで酒盛りを始めたのが運の尽き。
あれよあれよという間に、ご覧の有様となってしまったのだ……。
◇
「うふふー、みんなして僕が遅いと舐めていますねぇ~? 実は〝ときょーそー〟に出ることは前から決めていたんです。僕も足には自信があるので~」
「いや、いやいやいや!」
遅いとか速いとか、今はそういう問題じゃない! その真っ赤な顔でへらへら笑ってる姿が問題なのだ!
ちなみに日ノ本高校の体育祭は生徒も教師も垣根無く参加出来るので、木綿先生が生徒に混じって徒競走に出るのはなんらおかしくはない。ないのだが……。
「へーき、へーきれぇーす! うぉぉぉぉ!! 風が僕を呼んでますよぉぉぉ!!」
「あっ、ちょっ!?」
「ああ、行っちゃった……。大丈夫かな? 激しい雄叫びとは裏腹に、恐ろしくフラフラだけど……」
そしてよたよた歩きでトラックに辿り着いた木綿先生は、早速その姿を目ざとく見つけた夜鳥くんに何事かを言われている。
「……夜鳥さん、木綿先生にすっごい絡んでるね」
「こうか?〝止めてくださいよぉぉ!! 夜鳥くぅぅん!!〟」
「ちょっ、カイリちゃん! アテレコやめて!」
歌が上手いと声真似も上手いのだろうか?
あまりにそっくりな声色にみんながドッと沸く。
――パァン!!
するとその時、レースの開始を告げる号砲が耳に響く。
どうやら笑ってる間に徒競走が始まってしまったようだ。慌てて私は視線をトラックへと戻した。
