雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 場の空気が突然変わり、私の背筋がゾッと冷たくなる。

 ――何?

 リーダーであろう妖怪女子が、急に地を這うような低い声を発したかと思うと、彼女の全身が何か不気味なドス黒い妖力をまとっているのが見えた。

 何、何、何?


「アンタナンカガイナケレバァァァ!!!」

「!?」


 まるで咆哮のような絶叫を上げ、ドス黒い妖力が彼女の全身から放たれる。


「アンタナンカイナケレバァァ!」

「イナケレバァァ!!」

「……っ!?」


 すると放たれた黒い妖力は彼女の周囲に居た人間女子達に降りかかり、もろに妖力を浴びた女子達は一様にギリギリと血走った目で私を睨みつけた。


「アンタナンカイナケレバヨカッタノニィィ!!」


 な、何これ……?

 異様とも言える彼女達の豹変に気圧されて、私はじりっと後ずさる。
 しかし元々囲まれていたため、逃げ出すことは叶わず、逆にどんどんと包囲が狭まっていく。


「ソウヨ、アンタナンカイナケレバァァ!!」

「ミコトサマニマトワリツイテ、メザワリナノヨォォ!!」

「消エテシマエェェェッッ!!!」

「っ――――!?」


 彼女たちの絶叫と共に巨大な火球が現れ、私は言葉を失う。
 嘘でしょ!? こんな高等妖術、どうやって……!?


「……って、言ってる場合じゃないっ!!」


 一直線に向かって来る火球に応戦しようと、私は氷の妖力を手に込める。でも……!


『まふゆ、いいこと? あんたが雪女の半妖だってことも、妖力を使えるってことも、ぜ~ったいに誰にも言っちゃダメよ』


 ここで妖力を使ってしまえば、半妖だとバレることが避けられない。お母さんとの、約束が……。


「あ……」


 迷っている間にも、あっという間に火球が迫る。
 視界いっぱいに広がる炎に、最悪の事態が頭を過ぎり、そして――。


 ――ドオォォォォンッ!!!


 次の瞬間、とてつもない爆発音が耳をつんざき、私の体は強烈な爆風にあおられた。