雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「まふゆ、こっちのフィナンシェも美味いぞ! 遠慮せずどんどん食べなさい」

「はぁ……」


 最初こそ緊張したものの、異様にフランクな陛下に毒気を抜かれたというか、気持ちが緩んだというか。

 なんだろう、本当に。

 陛下とお母さんが友達だから、その友達の子供も可愛いってやつ? 
 まさか本気で私にお菓子を食べさせる為だけに、ここへ呼んだんだろうか……?


「そういえばまふゆ、さっきの見てたわよ。九条くんにここまで送ってもらっちゃってぇ。なんか漂う雰囲気も2か月前と違って甘ったるかったし、まさか何か進展でもあったの?」

「へぇっ!!?」


 油断していたところにいきなり九条くんの名前を出されて、声が裏返ってしまった。
 すると案の定面白いものを見たというように、お母さんが目を輝かせて、からかいモードへと突入する。


「何々? まさかくっついたの!? ついに!?」

ついに(・・・)って……、やっぱりお母さん、私の気持ち知って……あ゛」


 またティダのパンケーキ屋さんの時と同じ墓穴を掘ってしまった……! は、恥ずかし過ぎる……!

 私は頭が真っ白になって固まる。

 すると目の前に座る陛下までもが何故か顔色が変わり、持っていたお菓子の包みをポトンと膝に落とした。


「く、くっつくって、何だー!? まさかまふゆに男が出来たのか!? しかも先ほど風花は〝九条くん〟と言っていたか……!?」

「え、ええっと……?」


 突然めちゃくちゃ据わった目で陛下にそう問いかけられ、反応に困る。
 え、なんで陛下はそんなに私の彼氏の有無に必死なの?


「陛下こそお嬢さんを怯えさせていますよ」

「そうよ。ただでさえウザいおじさんに敏感な年頃なのに、あんまり詰め寄ると嫌われちゃうわよ」

「おじっ……!? 嫌われ……!? そうなのか、まふゆ!?」

「い、いいえ! 陛下を嫌うなんて、滅相も無い!」


 あまりの圧にブンブンと首を横に振れば、陛下がホッとしたように息をつく。

 え、何これ? だからなんで陛下はこんなに私に好かれるかどうかで必死なの?

 まさか本当に愛人にするつもり……は、無いか。奥さん一筋だって言ってたもんね。