「どうしました?」

「……いや、なんつーか不知火(しらぬい)はもっと落ち込みそうなイメージあったから、案外元気そうでよかったって言うか……」

「へ?」


 夜鳥さんの言葉にわたしが目をパチクリさせると、雨美さんと木綿先生、それにカイリちゃんも頷いた。


「ほら、不知火さんは本気で雪守ちゃんに恋してたのかなぁ? って思うくらい、大好きオーラが溢れていたからさ」

「それこそさっきの雪守さんの幸せオーラに負けないくらい、ダダ漏れでしたよね」

「あたしも。もしかしてそうなのかなぁって、ちょっと思ってた」

「ああー……」


 指摘されるのも無理もない。
 わたし自身、思い当たるところはたくさんある。


『おおーっ! この躍動感、めちゃくちゃ良いよっ!!』


 わたしの描く絵を褒めてくれた。初めて出来た友達。


『変わんないよ。私は朱音ちゃんが大好きで、ずっとずっと友達なんだから!!』


 優しくて、お茶目で、とっても美人で。
 嫌われたっておかしくないことをしちゃったのに。それでも友達だって言ってくれた、わたしの大切な人。


『それにわたしが大好きなのは、まふゆちゃんなんですっ!!!』


 神琴様の退学騒動の帰り道に言った言葉。実を言うと、あれはわりと本気で言っていた。
〝ずっとずっと一緒にいたい〟って気持ちが恋だというのなら、確かにわたしはまふゆちゃんに恋をしていたのかも知れない。

 でも……、


「まふゆちゃんはみんなの〝太陽〟だから、わたしだけのものにしたいなんて思ったことはないからなぁ」

「ああ、太陽。確かにまふゆはそんな感じだよな」


 みんなをポカポカ照らし、迷った時、立ち止まった時は、そっと日の当たる場所へと導いてくれる。まさにまふゆちゃんはそんな太陽のような存在だ。

 カイリちゃんもわたしと同じように彼女に救われた過去があるからか、うんうんと頷いている。