まふゆちゃんと神琴様が湖に出発したのを見届けた後、わたしは先に上まで登っていたカイリちゃん達の元へと向かう。
すると全員が感慨深そうに仲良く並んで歩く、二人の後ろ姿を見つめていた。
「はぁー雪守と九条様、ついにかぁ……」
「雪守ちゃん、顔にハッキリ出るからね。見た? あの幸せ満面、爛漫な笑顔」
「見た見た。あんまり幸せオーラがダダ漏れなもんだから、周りの観光客までチラチラ見てた」
「ずーっと、くっつきそうでくっつかなかったのに。やはり進展があったとすれば、昨晩だったのでしょうか……?」
みんなの呟くその表情は少々落胆した様子のもので、それにくすりと笑う。
だってきっと、わたしもみんな同じ表情をしていることはすぐに想像出来ちゃうんだもん。
「明日からの学校、荒れるぞ」
「どっちが?」
「どっちもだろ。九条様は言うまでもないが、雪守だってわりとマジなファンが多かったんだぜ。男子はみんな泣くだろうよ」
「あー……」
遠い目をする夜鳥さんと雨美さん。そういえば明日は全体朝礼の日だった。
となると、まふゆちゃんと神琴様のラブラブっぷりを目の当たりにした生徒達の騒ぎようは、簡単に想像出来る。
まふゆちゃんの性格上、絶対に学校では二人の関係に言及しないだろうけど、その仲睦まじい様子を見れば誰もが何かあったと察するだろう。
「でも相手は神琴様ですから。あの方以上にまふゆちゃんとお似合いな人なんて居ませんもん」
「ま、そうだけどさ。でも頭じゃ分かっていても、辛いものは辛いよ。なんだかんだ言って、ボクも雪守ちゃんに結構憧れてたし」
「オレもオレも」
「あ、僕もです」
「ちょっと先生、どさくさに紛れて聞き捨てならないこと言ってない?」
「ぷっ! ふふっ……!」
いつの間にやら傷心モードからいつもの賑やかな雰囲気に戻り、それに思わず吹き出してしまう。
するとみんなが一斉にこちらを見たので、わたしは首を傾げた。