雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「朱音ちゃん!」

「そんな……、神琴様の病がそんな重いものだったなんて……。しかも原因不明? 治らない……?」


 項垂れるようにして、呆然と呟く朱音ちゃん。それにカイリちゃんが重く頷いた。


「……普段、普通に元気そうだったから、全く分からなかった。アンタの癒しの力、あたしも経験したから分かるけど、確かにたいした力だと思うよ」

「うん。……でも、私の力なんかじゃ完全に治してあげることも出来ない。今この瞬間も九条くんの病が進行しているのかと思うと、居ても立っても居られない。なのに何も出来ない自分が腹立たしくて、辛くて、悲しくて……!」

「まふゆちゃん……」

「…………」


 しんと場が静まり返る。
 当然だろう。いきなりこんな話、何と言っていいか困惑するに決まっている。


「ごめんね、急にこんな話」

「ううん、むしろ聞かせてくれてありがとう。まふゆちゃん、苦しかったでしょ? だって抱え切れないよ、こんな……」

「ああ、そりゃあアンタも不安定にもなるよ。よくもまぁ、あの銀髪は今まで誰にも漏らさず平然としていられたな。あたしが同じ立場なら、とっくにおかしくなってる」

「心が強い……だけじゃ片付けられないだろうね。どうして神琴様があの日(・・・)人が変わってしまったように見えたのか、ようやく分かったよ。神琴様はきっとずっと諦めてたんだ――自分の運命を、幸せを」

「っ」


 自分の運命を、幸せを、諦めている。
 それはずっと私も感じていたこと。


『俺には絶対に出来ない選択だ。現に王子を(うしな)って姫は泣いてた。俺はいずれ相手を悲しませ傷つけると分かっていて、自分の幸せだけを追い求めることなんて――絶対に、出来ない……!』


 今になってあの時の九条くんの言葉が私に突き刺さる。
 あの言葉は九条くんの心の叫び。どうにもならない自身の運命への諦め。

 それを悟れば、ポロポロとまた勝手に涙が目からこぼれ落ち、私は唇をぎゅっと震わせた。


 「――でもね、まふゆちゃん」


 しかしそこで、重い空気を切り裂くように朱音ちゃんが声を上げる。