「まふゆちゃん、自分で気づいてなかった? ハコハナ旅行が終わってからもう一週間が経つけど、その間ずっと何か思い悩んでいるような顔をしてるんだよ」
「てっきり銀髪と上手くやってるんもんだと思ってたのにさ。まさか地獄谷であたしらと別行動した時に、あいつとケンカでもしたのかよ?」
「……っ」
心底不思議だという二人の様子に言葉が詰まる。
え? 私、そんなに思い詰めた顔してた? 二人にまで訝しがられるくらい?
よく九条くんにも、私は感情が顔に出てるって言われるけど――……。
「っ、」
じゃあ、まさか九条くんにも悟られていたのだろうか……?
九条くん親衛隊や他の生徒達の目がある手前、学校では恋人らしい振る舞いは一切していないけど、寮では共に過ごす時間が増えた。
その時に九条くんに指摘されるようなことはなかったけど……。
――でも、きっと聡い彼ならば気づいてる。私が何で悩んでいるかなんて……!
「……しよう」
「え?」
「どうしよう、二人とも!! 私、九条くんと両思いになれてすっごく嬉しいのに、今は胸が張り裂けそうに辛い……!!」
「ええっ!?」
突然わっと泣き出した私に、二人はビックリしたように目を見開いた。
そりゃあそうだろう。さっきまで料理を食べてニコニコしてたと思ったら、急に泣き出して。自分でも情緒不安定過ぎだと思う。なのに止まらない。
「辛い……って、今から別れるのが辛いとかそういうやつ? ならあの銀髪に関しては大丈夫なんじゃないか? どう見てもアンタにベタ惚れだし」
「そうだよ、まふゆちゃん! 神琴様に限って、浮気なんて絶対あり得ないから!!」
「……っ、そうじゃないの」
「? まふゆちゃん?」
「…………」