雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「ああっ! この先は火山の噴火口だって!」

「えっ、見てみたいんだけど!」

「せっかくだし行ってみよーよ!」

「じゃあ誰が一番速く着くか競走な!!」

「ふふふ、速さでこの一反木綿を超えることは出来ませんよぉーーっ!!」


 九条くんと温泉卵を完食した時、ちょうど前方が騒がしくなった。
 それに視線を上げれば、私と九条くん以外のみんながどんどんと山を駆け上って行くのが見える。


「えー! みんな走ってっちゃった!」

「なんだかティダの時を思い出すな。俺達も行こうか」

「うん」


 元気過ぎるみんなに笑いつつ、着いて行こうと歩き出す。

 すると……、


「待ってえぇぇぇ!!」

「えっ、朱音ちゃん!?」


 先に走って行ったはずの朱音ちゃんが、何故かこちらに向かって戻って来る。
 そしてあっという間に息を切らせて私達の元へと降りてきた。


「はぁはぁ……」

「ど、どうしたの、朱音ちゃん? せっかく登ったのに、また降りてきて……」

「うん……。二人に伝えようと思ってて、すっかり忘れてたのを思い出して」

「? なんだ?」


〝私達二人〟と名指しされ、私と九条くんは互いに顔を見合わせる。

 もしかしてまた九条家絡みのことだろうか……?
 暗部長さんと接触した件もあるし、あり得る。

 内心そう身構えるが、しかし朱音ちゃんの口から放たれたのは、全く違う話だった。


「実は噴火口に行かずにこのまま山を下ると、大きな湖があるんですって。部長さんの話だと、その湖はすっごく青く澄んでいて、とてもロマンチックなんだそうで」

「へぇー! 部長さんがロマンチックって言うなら、本当にすごそうだね! なら噴火口行った後に、みんなで一緒に……」

「――まふゆちゃん」


 パッと顔を輝かせて私は言いかけるが、だが次の瞬間、コソッと耳元で囁かれた朱音ちゃんの言葉によって全て吹っ飛んでしまう。