「……〝ダメなまふゆ〟って?」
「ん、うん……。恥ずかしいんだけど私ね、小さい頃はめちゃくちゃお母さん子で、どこへ行くにもお母さんに着いて回ってたの」
お母さんが見当たらなくなったら、わんわん泣いて。学校でちょっとでも嫌なことがあったら、またお母さん。
あんまり私が泣いてばかりだから、お母さんには〝泣き虫〟って、よく笑われてた。
「意外だな。まふゆは小さい頃からしっかり者なのかと思ってた」
「年を経るごとに、外行きの顔が出来るようになっただけだよ。だから本当はすぐに泣いちゃう、ダメな私なの」
「じゃあ外行きじゃないまふゆを、俺には見せてくれるんだね。……嬉しいな」
そう言って、九条くんは私の瞳から流れる涙を指で掬い取った。それに私の頬が赤く染まる。
「そう、……だよ。九条くんだけ。こんな風になっちゃうのは、九条くんだけなんだから」
九条くんの反応にいちいち一喜一憂して、胸が高鳴ったり、不安になったり。
笑ってくれるだけで、ただ側に居てくれるだけで、言葉で言い表せないくらい幸福感を感じるのも、全部。全部。
「私、九条くんが――」
「待った」
突き動かされるように、私は思いの丈を伝えようと口を開く。
しかしそれは九条くんによって遮られてしまった。
「それは俺に言わせてほしい」
「え」
銀色の髪から覗く真剣な眼差しにドキリとする。
そしてそのまま魅入られたようにその金の瞳を見つめていると、九条くんがゆっくりと口を開いた。
