「はいっ、勝負ありー! 勝ったのは先生ね。他の組み合わせはみんな失格だし、いきなり決勝戦! 副会長さんとシャトーブリアンを賭けて戦うのは、先生で決定よぉぉ!!」
……意外だ。てっきり九条くんが勝つと思ったのに。
そしてそう思っていたのは、私だけではないのだろう。みんなの視線を受けて、木綿先生が不敵に笑った。
「ふふん。実は僕、学生時代は卓球部だったんですよねぇ。昔取った杵柄ってヤツですか」
「はぁ!? んじゃあ上手くて当然だろ! こんな勝負、無効だ無効!」
「そうだそうだ!」
「経験者だって黙ってたなんて、木綿先生も失格ですよ!」
きっと腕前を自慢したかったのだろうが、みんなからは大ブーイングだ。
それに先生が慌てたように言い募る。
「えぇーーっ!? 嫌ですよぉ!! 僕だって大人気ないとはちょっと思いましたけど、でもたまには大人だっていい思いしたいんですよぉーーっ!!」
「ええ……」
わぁぁぁん!! と大泣きし出した木綿先生。
それに大袈裟な……という気持ちはあるが、思えば先生には色々とお世話になった上に、散々な目にもたくさん合わせてしまっている。
こういう時くらい、贅沢してもらうのもいい機会なのかも知れない。
……それにみんなも。
せっかくこのメンバーで旅行に来たのだ。
誰か一人だけが高級ステーキを食べるというのは、なんだか味気なくて寂しい。
そこまで考えて、私は横に立つ部長さんをおずおずと見上げた。
