◇
――そんな訳でいきなり卓球対決を行うことになった私達。
ご丁寧にも壁には〝シャトーブリアン杯〟という横断幕が掲げられ、更にはいつ用意したのか、部長さんがパラっと一枚の大きな紙を広げた。
「じゃあこれがトーナメント表よ。7人居るから、じゃんけんで勝った人は一回戦免除ね。はーい、じゃーんけーん……」
〝ぽんっ〟の瞬間、わっと部長さんが歓声を上げる。
「勝ったのは副会長さんね! あとの組み合わせもじゃんけんで決めちゃいましょうか」
そうして手早く決められた対戦カードは、雨美くんVS夜鳥くんと朱音ちゃんVSカイリちゃん。そして九条くんVS木綿先生だった。
早速それぞれ卓球台を挟んで向かい合わせに立ち、勝負が始まる――……が、
「きゃーん! 上手く球に当たらなーいっ!」
「ていうかネットに当たって、向こう側に球がいかないんだけど!?」
「ええ……」
「あらあら」
「キキィ……」
朱音ちゃんとカイリちゃんはネットに球をぶつけ合って、一度もラリーすることが出来ていない。結局二人とも時間切れで失格となってしまった。
「ははっ! なんだよ水輝、そのヒョロイ球。男ならもっと強く打って来いよな!」
「ああ? 男がなんだってぇ!?」
「えっ、ちょっ、二人とも待っ……! わああっ!?」
「いやああああ!?」
「ウキキィッ!?」
夜鳥くんと雨美くんは、妖力で凶器と化した球を飛ばし合う。これじゃあ勝負どころじゃない! 二人とも失格だ!!
何これ!? 誰も卓球になってないじゃん!!
まさかこれ、全員失格で終わるの……? と、思わず私は遠い目をする。
――コツンコツン
「!?」
しかしそんな私の耳に、ラケットに球が当たる小気味いい音が届いた。
「なんだか両サイドが騒がしいですねぇ」
「はは。どうやらまともに卓球をしてるのは、俺達だけみたいですね」
「九条くん! 木綿先生!」
二人は互いに顔を見合わせて苦笑しながらも、手元は忙しなく動き、コンコンとラリーが続いていく。
よかった! やっとまともな卓球だ!
なんでそんなことで感動しているのか分からないが、他が酷い有り様なのだから仕方ない。
「しかしそれはそれとして、かのシャトーブリアンが食べられるというのなら、例え教え子が相手でも手加減はしませんよ、っと!!」
「あっ!?」
バシュッ!! と風を切る音と共に、九条くんの横を球がすり抜ける。
その瞬間、部長さんが叫んだ。
