「雷護ってば、それ本当かなぁ? 女湯での不知火さん達の会話、しっかり聞き耳立ててた癖に」
「夜鳥さん??」
「いやっ、聞いてたのはオレだけじゃねぇし! お前らだってみんな、雪守の胸のくだりで黙ってたじゃねーか!!」
「はっ!?」
聞き捨てならない言葉に、私はモンブランを食べていた手を止める。
そういえばあんなにハッキリと男湯の会話が聞こえていたのに、モン吉が騒ぎを起こすまでの間、パッタリその声が聞こえていなかったような……?
「……っ!?」
まさかと男子組を見ると、サッと視線を外された。なんと九条くんまでも、だ!
『すご、胸って浮くんだな』
『脂肪だから理論上はそうなんだろうね、実際には浮くほどないけど。まふゆちゃんはすごいなぁ』
『んなっ!?』
じ、じゃあ、何? あれを全部、みんなに聞かれていたってこと……!? 九条くんにまで……!!
「~~~~っ!!」
全てを察した瞬間、私は真っ赤になって座っていたソファーから立ち上がった。
「もうっ!! みんなバカっ!! しばらく誰とも口聞かないからっ!!」
涙目で叫ぶと、「まぁまぁ」と部長さんが私の肩を軽く叩く。
「怒るのも無理もないけど、それだけ副会長さんが魅力的ってことよ。悲観するんじゃなく、誇っていいことだわ」
「キキッ」
「部長さん、モン吉……」
部長さんの肩から私の肩へと飛び移ったモン吉が、スリスリと私の首に頭を擦り寄せてくる。
もしかして慰めてくれているんだろうか?
つぶらな瞳を見ていると、いくらか気持ちも落ち着いてきた。
「そうだわ、副会長さん。気分転換も兼ねて、ちょっとしたゲームをみんなでしてみないかしら?」
「え……。ゲーム、ですか?」
唐突な提案にキョトンと首を傾げると、部長さんが「実はね」と笑う。