「ウキッ」
「へ……?」
声に誘われるように手のひらに乗るものへと視線を向けると、目の前にいたのは夜鳥くん……ではなく、一匹の小猿だった。つぶらな瞳でキョトキョトとこちらを伺っている。
「え、ええーーっ!? 可愛い!! けどなんでこんなところにお猿さんが!?」
「分かんない、自然が近いからかなぁ?」
「けどま、音の正体が鵺じゃなくてよかったな。さすがにあそこまで言われて覗くほどバカじゃなくって安心した」
「あはは……あ、」
「キキッ」
散々な言われように苦笑していると、お猿さんがピョーンと私の手のひらから飛び上がって竹壁を越えて男湯の方に行ってしまう。
「あー行っちゃった、残念」
「一緒に温泉に入れたら可愛かったのにね」
「そういや温泉と猿って定番の取り合わせだな」
言いながら温泉に浸かり直そうと、体に巻きつけたバスタオルに手をかける。
その時だった――。
「ウキキィーーッ!!」
「わぁっ! いきなり猿が降ってきたんだけど!?」
「ひぇぇ! 僕は爪研ぎじゃないですよぉーー!! 引っ掻かないでくださーーいっ!!」
「なんだコイツ!? オレの髪を引っ張るんじゃねぇ!!」
「待て! 夜鳥落ち着け!」
ドタンバタンと男湯から騒がしい音がしたと思うと、次にはバーンッ!! とけたたましい音が鳴り響く。
それに私達が驚き固まっていると、先ほどの小猿がまた竹壁を越えて女湯へと戻って来た。
「キキッ、キキキッ!」
「え?」
「あ、ちょっと!」
そのまま私達には目もくれず、ピョンピョンと慌てたようにどこかへと走り去って行く小猿。
……そして、
