雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「すご、胸って浮くんだな」

「脂肪だから理論上はそうなんだろうね、実際には浮くほどないけど。まふゆちゃんはすごいなぁ」

「んなっ!?」


 やっぱりと思いつつも、慌てて両腕で胸を覆い隠すと、「あーっ!!」と二人から同時に非難するような声が上がる。


「やーん、隠さないで! 勉強したいから、もっとよく見せて!」

「勉強って、なんの!?」

「何って、乳活(ちちかつ)的な?」

「乳活!?」


 そんな言葉初めて聞いたんですけど!?
 真っ赤になってますます身をすくませていると、朱音ちゃんが両手をワキワキさせて、私の胸へと手を伸ばした。


「ちょっ、ちょちょっ!? 朱音ちゃん!?」

「ちょっとだけ触らせてぇ! なんか触ったら、わたしのもおっきくなりそうな気がするのっ!!」

「なんで!? 私の胸にそんなご利益ないよ!?」


 いくら他ならぬ朱音ちゃんの頼みでも、さすがにこれはなんか嫌だ!
 そのままぎゃあぎゃあと不毛な攻防を続けるが……。


 ――ガサッ


「!?」


 唐突に露天の庭から異音がして、私達の動きはピタリと止まった。
 そして互いに顔を見合わせて呟く。


「…………今」

「ああ、なんか〝ガサッ〟て鳴ったな」

「まさか夜鳥さん……」

「いやいや、まさか……」


 言いながらも完全否定は出来ないので、私達は静かに湯船の側に置いておいたバスタオルを体に巻きつける。
 そして音がどこから鳴ったのか、息をひそめて伺っていると……、


 ――ガサガサガサッ!


「!? またっ!!」


 先ほどよりも大きな音に固く身構え、音の方向へと視線を走らせる――と、


「ウッキィ!!」

「わっ!?」

「まふゆちゃんっ!?」


 何か小さな物体が私目掛けてまっすぐに飛び込んできて、瞬間両の手のひらに感じるのは、温かな重み……。