雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「わああ……!」

「広ーーいっ! そして見晴らし良すぎぃ!」

「あのでっかい山、もしかして日ノ出(ひので)(やま)か!?」


 (ひのき)の良い香りがする綺麗な内風呂を抜けて露天風呂に出ると、真っ先に視界に飛び込んで来たのは、冠雪が美しい日ノ本帝国一大きな山――日ノ出山だった。
 有名だし一度は見てみたいと思っていたけど、まさかハコハナで叶うなんて!

 しかもこの露天風呂はスイート専用で他のお客さんも居ない。つまりこの景色は私達だけで独占なのだ。なんという贅沢なのだろう……!

 早速温泉に入ろうと、ウキウキと朱音ちゃんカイリちゃん共々体を洗い始める。

 すると……、


「いやー絶景ですねぇ! 少し木々が色づき始めていて、秋のハコハナは一段と風情があります」

「はぁーあったけぇ、芯まで温まるなぁ」

「あっ! 雷護ってば、もう温泉に浸かってるし!」

「ちゃんと体は洗ったのか?」


 先ほど離れの入り口で別れた男子組の声が聞こえて、私達は顔を見合わせた。


「男湯……」

「うん、壁挟んですぐ隣なんだね」


 私達は温泉を区切るようにそびえている、竹壁を見上げる。
 どうやらその向こう側はもう男湯らしい。


「このシチュエーション、地味にヤバくない?」

「ま、まぁ、九条くん達がちゃんと見張ってるって言ってたし……」

「そうだよね。じゃあ入ろっか」


 洗い終えた髪をまとめながら笑って、ちゃぷんと温泉に浸かる。


「はぁー……」


 雪女とはいえ、温泉は好きだ。
 というか温泉大国である日ノ本帝国に住んでいて、温泉が嫌いな人なんていないんじゃないだろうか?

 肩までじっくり浸かると、ちょっとトロミのある温泉が体の疲れを癒してくれるようで心地いい。
 腕を上げてみると肌がピカピカと輝いていて、朱音ちゃんが言っていた効能は確かなようだ。上機嫌で軽く鼻唄なんかも歌う。


「ふんふ~ん……ん?」


 (まぶた)を閉じてまったりと温泉を堪能していると、不意に感じる視線。
 それに目を開けば、朱音ちゃんとカイリちゃんが無言で食い入るように私を……いや、私の顔の(・・・・)下を(・・)じっと見ていた。


「……どうしたの?」


 もはやこのパターンも慣れたもので、嫌な予感しかしないが、とりあえず聞いてみる。
 するとやはり案の定なことを言われた。