雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「他ならぬ部長の頼みだし、特別におじさんとおばさんが店を貸し切らせてくれたんだ。感謝して、じっくり父さんの魚の味を噛み締めろよ」


 ――そう。

 テーブルにズラリと並べられた、豪勢なお魚料理の数々。これらに使われている魚は全て、カイリちゃんのお父さんである、魚住さんの獲った魚なのだそうだ。
 そしてこのお店こそが、以前彼女が言っていた魚住さんの知り合いのお店。つまりカイリちゃんの下宿先なのである。 


「うんうん。本当にありがとうね、カイリちゃん。やっぱりティダのものを食べられるのは嬉しいよ」


 言って私は、店内の端っこで木綿先生と頭を下げ合っている老夫婦へと視線を向けた。

 二人ともロマンスグレーの髪が素敵なご夫婦で、とても人の良さそうな様子は、カイリちゃんのお父さんである魚住さんともどこか重なる。
 きっとここでなら、カイリちゃんも居心地よく過ごせているんだろうなぁと感じた。


「うふふ、みんな盛り上がってるわね。副会長さんも楽しんでる?」

「あ、部長さん」


 と、そこで声を掛けられて振り返ると、舞台でも着ていた艶やかな深紅の着物姿の部長さんがこちらへと近づいて来る。それに私は持っていたお皿をテーブルに置いて頭を下げた。


「はい、もちろんです! 私と九条くんだけでなく、他の生徒会メンバーまで打ち上げに呼んでくださり、ありがとうございます」

「いいのよぉ、そんなかしこまらないで! 生徒会のみなさんには本当に何から何までお世話になったんだもの! この程度じゃ全っ然っ、恩は返せないわっ!!」

「いやいや、恩だなんてそんな……」


 拳を握り締めて力説する部長さんに私は苦笑する。
 恩どころか、むしろ舞台を中断してしまったりと、迷惑の方が多く掛けてしまった気がするのだが……。

 しかしそれを口に出すより前に、部長さんが何やら意味深な視線をこちらに向けた。