雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「――――――」

「……おや?」


 言葉が出ない私の様子に、狐面の女性は驚いたように首を傾げる。


「その反応、もしや朱音は神琴様の病の詳細を貴女に伝えていなかったのですか? ……いや、違うか。あの子はまだ幼い。主様が気遣われて、朱音には伏せられていたのか……」

「……伏せられ……?」


 まるで独り言のような小さな呟きを聞いた瞬間、今までに感じていた数々の違和感が、頭の中を走馬灯のように駆け巡る。


『そうか……親友。私達は親友だった(・・・)のだな』

『ええ、そうよね。國光(くにみつ)紫蘭(しらん)はいつもバカばっかりやって、こっちが羨ましくなるくらい仲が良かった。本当に……』

『ティダに来て、俺は初めて外の世界を見れた気がするんだ。だからこの旅行を一生の思い出にしようって思ったら、無意識に声が……』


 気づいてしまえば簡単なこと。
 ……ううん、違う。本当はずっとどこかでそんな予感はしてた。

 でも、それが真実なのだと知るのが怖くて、私は気づかない振りをしていたんだ……!

 それに思い至った瞬間、私は弾かれたように叫んだ。


「教えて!! 九条くんは一体なんの病を患っているっていうの!?」


 こちらの剣幕に狐面はゆっくりと頷き、息をつく。


「いいでしょう。もはや貴女も無関係とは言えない。……話しましょう、神琴様の病がどういったものなのかを」

 
 静かにそう告げると、狐面はゆっくりと歩を進める。
 そして未だ目覚めない九条くんの頬へと手を伸ばし、唇の端に残る血の跡をそっと拭った。

 じっと彼を見つめるその表情はお面に隠されていて見えないが、その手つきは酷く優しい。
 まるで九条くんを心から慈しんでいるかのようだ。


「あなた、は……」


 その優しい様子は以前屋敷で相対した狐面達とはまるで異なり、私は戸惑う。
 するとそんな私にチラリと視線を向け、彼女は話し出した。