「まふゆちゃーん! ポスターのデザイン案、いくつか出してみたんだけど、見てくれない?」
「わぁ、見る見る! 仕事が早くて助かるよ! ありがとう! 朱音ちゃぁん!!」
文化祭準備用に借りた空き教室へと勢いよく入って来たのは、ふわふわのピンク色の髪に、パッチリとしたチョコレート色の瞳の、可愛いが詰まった美少女。その名を不知火朱音ちゃんと言う。
ちなみに同じ2年生で人間の女の子だ。
選考の際に絵を描くのが趣味だという彼女に見せてもらった絵に私が一目惚れし、是非に是非にと頼み込んで文化祭のデザイン全般を担当してもらえることになった経緯がある。
完全に私得だが、これも役得ということで許してほしい。
「おおーっ! この躍動感、めちゃくちゃ良いよっ!!」
スケッチブックに描かれたポスター案をパラパラと捲り、私は絶賛する。
朱音ちゃんの絵は本人の可愛らしい見た目に反して、線が力強く色合いもパキッとしており、なんというか生命力に満ち溢れているのだ。
一見ふわふわしたパステル調の絵を描きそうな女の子がこんな力強い絵を描くなんて、そのギャップもまた堪らないではないか。
「わぁっ、こっちもいいなぁ!」
ニヤニヤと口元を緩めて、どのデザインがいいか悩む。私的にはこの元気な感じのがいいと思うんだけど、みんなはどう思うかなぁ? うーん、うーん……。
「……?」
そうやって唸っていると、後ろから誰かに覗き込まれる気配がして、持っていたスケッチブックに影が差す。
ああ、違った。〝誰か〟じゃないな。
この溢れんばかりの強大な火の妖力の持ち主は、学校中探しても一人しかいない。
