「すごいな。まふゆが本物のお姫様に見える」
「…………」
感心したように言う九条くんこそ、どこからどう見ても本物の王子様にしか見えないんですが。
真っ白なジャケットとズボンに黒皮のブーツ。赤いマントを靡かせて金色の王冠を被るその姿は、まさに高貴な王子様そのもの。
あまりに素敵でつい言葉を発するのも忘れて、ポーっと見惚れてしまう。
「あら?」
「!!」
――と、そこで不意に聞こえた野太い声によって我私はに返り、思わず飛び上がりそうになった。
「副会長さん、まだステージに行ってなかったのね」
「あ、ぶ、部長さん……」
声の方を見上げると、九条くんの後ろから部長さんがこちらを見て小首を傾げていた。
部長さんは私はおろか、九条くんの身長さえも優に超える大柄だというのに、全く気づかなかったとか、私ってどんだけ九条くんしか見てないの!?
そう改めて自覚すれば、先ほど赤くなった頬がますます熱を帯びていくのを感じる。
「あらあら、まぁまぁ!」
しかしそんな私の居た堪れない気持ちとは裏腹に、部長さんが私と九条くんを交互に見てパッと顔を輝かせた。
「こうやって実際に二人並んでるところを見ると、やっぱり絵になるわぁ! まさにアタシのイメージした王子と姫だわっ! ほんっとうにお似合いよ、二人とも!!」
「あはは、ありがとうございます」
片思い中の相手とお似合いと言って貰えて、恥ずかしいけど素直に嬉しい。
部長さんにお礼を言うと、私の後から部屋を出て来たカイリちゃんがそれを見てヒューヒューと囃し立てた。しかも超棒読みだし!
「ちょっ、カイリちゃん!?」
「あーごめん。つい口が滑って」
「ヒューヒュー!」
「あ、朱音ちゃんまで!!」
「えへへ」
真っ赤になって叫ぶと、みんながクスクスと笑い出す。
そうして和やかな雰囲気のまま、今日の通し稽古は無事に終わったのであった。
