雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「徒競走、リレー、大縄跳び、玉入れ、障害物競走……」

「うーん、綱引きとか?」

「今出た種目、全部既に体育祭にあるよ」

「ならパン食い競争」

「それもある」


 九条くんが私が渡した資料――昨年の体育祭種目一覧を見て、私達の思いついた種目をすげなく却下していく。

 うーん……。目玉になるような新しい種目なんて、案外そう浮かばない。
 どうやら難題を安請け合いしてしまったようだ。

 そのままぐだぐだと定番の種目を言っては却下を繰り返し、小一時間が過ぎた頃――。


「おっ! じゃあこういうのはどうだ!?」


 ついに夜鳥くんが何か閃いたのか、顔を輝かせた。


「はい、採用」

「いやまだ何も言ってねぇし!?」

「だーって、ボクもう考えるの疲れたもん。それでいいよー」

「だからって聞いてから言えよ!」

「あはは、まあまあ。……で? 夜鳥くん、どんな種目を思いついたの?」


 だるんと机に突っ伏している雨美くんに噛みつくのをどうどうと(なだ)めながら聞くと、機嫌を取り戻した夜鳥くんがドヤ顔で鼻を鳴らした。


「この際〝鬼ごっこ〟はどうだ? 体育祭にありそうでなかったろ? 見てる奴らも楽しめるし、結構盛り上がりそうじゃね?」

「鬼ごっこか。確かに鬼の数で難易度も自由に変えられるし、いいアイデアだな」

「うん、私もいいと思う。明日女子達に言ってみるね!」

「おう、あいつらに言っとけ。このオレの発案だってな」


 ドヤ顔は少々気になるが、今回ばかりは夜鳥くんを素直に褒めたい。さすが普段ふざけてる男だ。こういう娯楽に関するアイデアは豊富らしい。

 まぁともあれ、出せる案が決まって良かった。
 あまりに決まらな過ぎて、今夜は生徒会室に泊まり込みかと危惧していたところだったのだ。


「ねぇ、そういえば」


 と、そこで机に伏していた雨美くんが口を開いた。


「木綿先生はどうしたの? また居ないじゃん」

「え?」

「あ?」

「……本当だ」


 言われてようやくあの騒がしい声をまだ聞いていないことに気づく。
 一度ならず二度までとは……。木綿先生って案外影薄い? 

 ――なんて、本人が聞いたら大泣きしそうなことを思った瞬間……、


「ぎゃあああああああっ!!! みなさあああんっ!!!」


 噂をすればなんとやら。
 大絶叫を上げながら、扉を引き倒す勢いで木綿先生が生徒会室へとなだれ込んで来た。