数日前から募っていた生徒会の臨時メンバー、通称〝文化祭実行委員〟のメンバーがやっと決まった。

 私が作成した臨時メンバー募集のお知らせは瞬く間に学校中に広まり、あの九条神琴(くじょうみこと)と一緒に仕事が出来る!? と女子が大挙して押し寄せて来たため、選考はかなり難航したのだ。
 それがようやく今日になって、15名の臨時メンバーが正式に文化祭実行委員として動いてもらう運びとなったのである。

 正直ここに至るまでの苦労(主に暴走した女子のせい)は言葉に言い表せない程ではあるが、元凶の九条くんが責任を感じてか率先して文化祭の準備を進めてくれているので、多少の文句は飲み込んでやろうか。

 いや、この際私の涙ぐましい苦労は横に置いておいて、選出した15名の臨時メンバーの話に戻そう。性別はもちろん、妖怪人間を問わず〝真剣に文化祭の準備を行なってくれる人〟を基準に選考したので、士気の高いメンバーが揃ったと思う。

 それぞれをポスターやパンフレットを作成する広報班、文化祭に使用する道具類全般を調達・管理する器材班、ステージ企画の進行をする企画班、各自の適正に応じて5名ずつ3班に振り分けた。

 ここまでは順調。さあ、後は準備を進めるだけ! ……だったのだが。


「神琴さまぁ~。絵の具が制服に付いてしまいましたぁ~ん。どうしましょ~?」

「神琴さまぁあん。この音響動きませぇん。見てくれませんかぁあん」


 なんということでしょう! 
 士気溢れる精鋭と思われた文化祭実行委員の一部のメンバーが、猫撫で声を出して横で作業している九条くんにアプローチをしているではありませんか!!

 絶望した。この人達にというより、私の人を見る目の無さに。
 選考担当は私だったので責任を感じる。すぐ近くに桃色ピンクの空間があるなんて、他のメンバーの士気に関わらなければいいのだが……。


「はぁ……」


 ああでも、臨時メンバーを募ったことは何も悪いことばかりでは無い。ちゃんと良いこともあったのだ。

 それは何かというと――。