『どうしてわたしは半妖なのかしら? 万が一この耳と尻尾が城外の者に知られてしまったら、その時わたしは……』
『ああ姫様、お労わしや』
『ありのままの姿で外を出歩くことが叶わないとは、なんと不憫な』
「…………」
私――つまり姫の台詞に対し、城の侍従の役である演劇部の部員さん達が言葉を返すのだが、やはり上手い。私のがただの〝音読〟なら、彼らのは台詞に気持ちが乗って、ちゃんと〝演技〟になっている。
それにより緊張を感じならも指定されたシーンを全て読み終えると、パチパチと部長さんが拍手してくれた。
「はい副会長さん、ありがとう。さぁ朱音、カイリ。今のを聞いてどう思ったかしら?」
「う~ん。初めてだから仕方ないけど、かなりたどたどしい……かな」
「そうだな。詰まりがちだったし、聞き取りにくい部分も結構あったな」
「う……」
分かってはいたことだが、実際に指摘されると結構ヘコむ。家に帰ったら自主練しないとなぁ……。
「ああ副会長さんっ、そんな落ち込まなくていいのよ! 部員達は随分前から練習しているんだもの、上手くて当然よ! 副会長さんはまだまだこれから。伸びしろしかないわっ!」
「はい、頑張ります……」
目に見えてしょんぼりする私に、慌てたように部長さんが慰めてくれる。
その言葉になんとか自身を奮い立たせて頷くと、彼女はホッとしたように笑って今度は九条くんに視線を向けた。
「じゃあ次は妖怪国のシーンに移りましょっか。会長さん、行ける?」
「ええ、大丈夫です」
それに九条くんが頷き、その形のいい唇からゆっくりと王子の台詞が紡ぎ出される。
『何故神は私にこのような苦難を与えたのだろう?』
「……っ!!」
瞬間、ザワッと揺れる室内。
『こんな病さえなければ、今頃私は……』
別に下手くそだったからじゃない。
むしろその逆で、あまりにも上手過ぎたのだ。
もしかして本職の方ですか? と聞きたくなるくらいに臨場感のある読み方。
ティダでした絵付けの時も思ったけど、九条くんって色々器用過ぎじゃない!?
「んまぁ! 会長さん、すんごいわぁ! アタシ本物の〝妖怪国の王子様〟が居るって、感動しちゃったわ!!」
「ホントすごいです、神琴様!!」
「ああ、なんか聞いてて鳥肌が立ったな!!」
もちろんみんな拍手喝采の大絶賛。
むぐぐ。九条くんも仲間だと思ってたのに、これじゃ私だけ素人丸出しじゃん! もう絶対寮戻ったら自主練する!!
「さーて。二人の調子も出て来たところで、次はいよいよ姫と王子のシーンにいってみましょうか! 副会長さんも準備はいいかしら?」
「は、はいっ!! もちろんです!!」
