雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「会長さんに副部長さん、お疲れさまぁ。待ってたわよぉん!」

「あはは、どうも」

「今日はよろしくお願いします、六骸部長」


 次の日の放課後。
 九条くんと一緒に演劇部の部室に隣接する練習室へと向かうと、部長さんがにこやかに出迎えてくれた。


「すいません。他の生徒会メンバーにしばらくの間の仕事の引き継ぎをしていたら、来るのが予定より遅くなってしまいました」

「いいのよぉ、そんな謝らないで! 無理言ってるのは、こっちなんだからぁ。体育祭の準備で忙しい時期に本当にごめんなさいね。お礼はたっぷり弾ませてもらうからね!」


 言いながら部屋の中に入ると既に演劇部の部員達は全員揃っていて、朱音ちゃんやカイリちゃんの顔もあった。それぞれに挨拶(あいさつ)をして、私達も指定された席に着く。

 何人かの部員達には顔を見るなり謝られたので、どうやら彼らが本来主演を演じる予定だったのだろう。フォローは任せてほしいと言われ、ずっしりと重かった気持ちがいくらか軽くなった。


「さてと、これで役者も全員揃ったし、読み合わせを始めましょっか。実際に声に出すことで役作りも深まるから、頑張ってねぇん」

「〝役作り〟……ですか?」


 聞き慣れない言葉に首を傾げると、部長さんが頷く。


「ええ。役の心情を理解しないことには、どう演技をしていいのか分からないでしょ? だからこうやって読み合わせ、つまりそれぞれ台詞(せりふ)を読んでいくことで徐々に役の雰囲気を掴んでいくのよ。ちなみに朱音とカイリには客観的な意見をどんどん言ってもらうつもりだから、よろしくね」

「なるほど……、分かりました」

「じゃあ習うより慣れろってことで、早速実践よ! 副会長さん、出来るかしら? 人間国の冒頭シーンからよ」

「は、はいっ!」


 いきなりトップバッターで当てられ緊張するが、言われた通りやってみるしかない。
 私は指定されたシーンまで台本のページを捲り、ゆっくりと姫の台詞(せりふ)を読み始めた。