雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



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 この世界には人間の他に〝妖怪〟と呼ばれる種族がいる。

 彼らは人間にはない〝妖力〟と呼ばれる異能を持ち、その突出した力で長きに渡り人間たちを支配した。とはいえ人間たちも負けてばかりではない。数の力と優れた技術力で応戦し、幾度かの衝突の歴史を経るのである。
 そして現在、我が国では人間の皇帝が世を治め、妖怪貴族が皇帝を支えるという形に収まり、ここ数百年は平和な時代が続いていた。

 妖怪は人間よりも絶対数は少ないものの、身体能力や頭脳が人間よりも優れた者が多い。そのため必然的に、貴族の身分を与えられる者が多かった。
 また人間ではあり得ないような超越した美しさを持つ者が多いのも妖怪の特徴なので、人間たちからは、まるでアイドルのように騒がれている妖怪の姿もしばしば見る光景である。


 ――そしてくだんの九条神琴。


 私と同じクラスの高校2年生で、白銀の髪に金の瞳が特徴の、これまた女性と見紛う超越した美しさを持つ妖狐の男である。
 ちなみに狐というくらいだから、狐耳や尻尾が生えていることを期待すると思うが、姿形は人間と変わらない。
 というのも、妖怪は普段は人間に合わせた姿をとるので、本来の姿は本人が解呪しないと見れないのである。残念。

 しかも彼は貴族妖怪の中でも頂点と呼ばれる三大名門貴族のひとつ、妖狐一族九条家の嫡男。つまり次期ご当主様である。

 もちろん学内の女子達からは凄まじい人気だ。
 歩くだけでその高貴さに女性が次々倒れたとか。女性教師が授業中の板書する彼を直視して、その神々しさに涙したとか。女性保健医が保健室で眠る彼を見て、そのあまりの美しさに一生分の鼻血を吹いたとか。
 よく分からない武勇伝は尽きることを知らない。

 更に身分や容姿が優れているだけでなく、悔しいことに成績も常に学年トップ! まさに全方位無双! 完璧超人!!
 ……と言いたいところだが、この九条神琴には、ひとつ致命的な欠点があった。


 それは――サボり魔。


 そう、九条神琴は大のサボり魔なのである!!