――しかし幸せな時は長くは続かない。
『妖怪国の王子と人間国の姫が恋仲だったって!?』
『しかも王子は重い病、姫は半妖だと!』
『許せない!! ずっと私達を騙してたんだわ!!』
王子と姫の関係を知った両国の王がそれぞれの秘密を明かしてしまい、妖怪国と人間国は大混乱。
二人は怒り狂った国民達によって互いの国を追われてしまう。
『はぁ、はぁ……』
『姫、この森を抜ければ、国境を越えます! どうかもう少し頑張ってください! ……うっ!!』
『王子様!?』
なんとか命からがら逃げおおせた二人。
懸命に慣れない森を駆け抜ける。
しかしもう間もなく両国の国境を越えるというところで、王子は病の発作を起こして倒れてしまう。
『姫……。どうやら私の命はここまでのようです。追手が来ます。どうか……貴女だけでもお逃げ、くださ……』
『そんな! 貴方を置いていくなんて出来ないわ! どうか、どうか気を確かにして!!』
気を失ってしまった王子に縋りつき、大粒の涙を零しながら姫は彼の唇に口づけを送る。
するとどうしたことだろう。
王子の固く閉じられた瞼がふるふると震え、目を覚ましたのだ。
『姫……』
『ああ、王子様! よかった……本当に……』
安堵から泣き崩れる姫の頬に王子は手を伸ばそうとして、しかし自身の腕に全く力が入らないことに気づいて苦笑する。
『王子様、王子様……』
『姫……、私は貴女を愛しています。……心から』
『あ……』
あまりにも幸せそうな笑みを浮かべる王子。それに姫は時が止まったように目を奪われる。
しかしまたもや王子の瞳がスッと閉じられると、姫は泣き叫んだ。
『ああっ、いやああ!!! 王子様!! どうか目を覚まして!! お願い、起きて……!!』
姫はもう一度王子に口づけを送る。
だが奇跡は二度起こらない。
完全に意識を失ってしまった王子を己の胸に抱き寄せ、姫はボロボロと涙を流す。
でも、それでも――。
『ありがとう』
最後には姫は微笑んでそう呟き、ここで物語の幕は下りるのである。
