「部長さーん、お疲れさまです!」
「お疲れです、六骸部長」
「!!」
噂をすればなんとやら。
タイミング良く見知った顔ぶれが部室に入ってきて、私は叫んだ。
「朱音ちゃん!! カイリちゃんまで!?」
「ああ、昨日振りだな」
「あ、まふゆちゃん。そのポスター見たんだ」
部室に現れたのはやはり朱音ちゃんとカイリちゃんだった。彼女達の視線が、ラウンドテーブルに叩きつけた例のポスターへと向く。
しかしその表情は特に驚いた様子はなく、私が部室に居ることも想定内といった感じだ。
これはやはり……。
「え、えっと……。一応聞くけど、私と九条くんを舞台の主演に推薦したとある部員って……」
「うん、お察しの通りわたしだよ。はいこれ、まずは読んでみて」
「えっ!?」
あっさりとクロと認めた上に、朱音ちゃんから何やら分厚い本のようなものを渡される。
それにあたふたとしながらも、言われるがままに本に目をやれば、表紙にはこう記されていた。
「〝人間国のお姫様と妖怪国の王子様〟? 何これ、タイトル?」
「そう、それは月末にやる舞台の台本なの。妖怪と人間の血を引いた半妖であることを隠してる人間国のお姫様と、生まれながらに重い病を抱えた妖怪国の王子様の恋愛物語なんだよ」
「へぇー……って、ええっ!!?」
なんかどこかで聞いたような話だなぁって思ったけど、それって姫と王子抜かしたら、まんま私と九条くんじゃんっ!!
「こ、この台本、誰が書いたのっ!?」
「それは部長であるこのアタシよぉ。なかなかありそうで無い、面白い設定でしょ?」
「せ、〝設定〟……?」
つまり既視感があり過ぎるこれらは全て、部長さんのオリジナル? よくもまぁ、偶然でここまで私達に似せられたものだ。
私が驚いて部長さんを見ると、彼女はふぅと憂いを帯びた表情で溜息をついた。
