雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



『ごめん、まふゆ。アンタの知りたいことは全部分かってるつもり。だけどもう少し……、もう少しだけ待ってて。時期が来たら必ず全部話すから』


 お母さんは何か、私が知らない大きな秘密を抱えていた。〝ツテ〟とやらも、その秘密に関わることなのかも知れない。
 嘘は言わない人だから、きっと〝時期〟とやらが来れば話してはくれるのだろう。

 気にはなるが、今はあまり深く考えてもしょうがないのかな。


「それで、カイリちゃんは今日は校舎の確認に来たの?」

「そう、授業は明日からだな。なんか先生から聞いたけど、朱音と同じクラスらしい」

「あー、それさっき九条くんも言ってたね。いいなぁ。私も二人と一緒なクラスがよかったなぁ」


 消しゴムの貸し借りしたり、教科書を見せ合ったり……。
 同クラになったらしたいことを思い浮かべて唇を尖らせていると、何故かカイリちゃんが「はぁ?」と呆れたようにこちらを見た。


「何言ってんの? 先生にアンタは銀髪と同じクラスだって聞いたよ。どうせいっつもイチャついてんでしょ? だったらいいじゃん」

「なっ!? だから何度も言うけど、私と九条くんはそんなんじゃ……!!」

「あーはいはい。そうだったね」

「もう! 絶対分かってないでしょ!」


 カイリちゃんの言葉に真っ赤になって反論すると、相変わらず投げやりな返事が返される。
 それに更に言い募ろうとした時、ポンポンと不意に頭に手を置かれた。


「まぁまぁ。そういえば魚住さんは住むところは決まっているのかい? やっぱり俺やまふゆのように寮へ?」


 その手の主はやはり九条くんで。

 だからこういう行動がカイリちゃんを誤解させるんだって言いたいんだけど、結局その気安い態度が嬉しいんだから、私も始末に負えない。


「あ、でもそうだよね! カイリちゃん、寮の案内なら私に任せてねっ!」


 まだ先ほどの動揺で心臓はドキドキとしたままだが、しかし気を取り直し、私は九条くんの言葉にパッと顔を輝かせる。
 なにせ寮生同士で部屋を行き来したり、おしゃべりしたりするのは、同じクラスになったらやりたいことと同様、私の密かな夢だったのだ!

 ……え? 九条くんはって? 
 九条くんはその、別枠と言うか。せっかくなら女の子同士でワイワイしたいじゃん!!


「あー……」


 けれどそんな私の夢は、次のカイリちゃんの言葉によって一瞬にして露と消えてしまう。