九条くん以外の全員の声がハモった。
だってうちの高校は基本、途中編入は認めていない。しかも春からじゃなく秋から転入だなんて、かなり珍しい。
「それって九条様はどんな生徒が来るのか、先生には聞いたんですか?」
「いや。急いでおられたし、俺達の隣……朱音と同じクラスだとしか聞いていない。ただ、歌がとても上手い生徒らしく、今回はそれが評価されて日ノ本高校に入ることになったとか」
「へぇー朱音ちゃんと? なら同い年。しかも歌かぁ」
我が校では学力以外にも、芸術やスポーツ分野で能力を評価されて入学する生徒も多い。
歌で評価されるだなんて、どれだけ上手いのだろう? ぜひ機会があれば聴いてみたい。
「カイリちゃんくらい綺麗な歌声の持ち主なのかなぁ?」
「ああ、確かに彼女の歌声は惹き込まれるくらいすごかったね。さすが人魚だと思ったよ」
「あ、いいなぁ! ボク達結局あの子の歌、聞けず終いだったんだよねぇ」
「そうそう、せがんでも『無理っ!!』の一点張りだったしなー」
ぷくっと頬を膨らませる雨美くんと、不機嫌そうな夜鳥くんに私は苦笑する。
「あはは、私達も聴かせてもらったというよりは、たまたま遭遇しただけだしね」
思いっきり海水をぶっかけられたことを思い出して、私は遠い目をする。
――魚住カイリちゃん。
夏休みに帰省したティダで出会った、小麦色の肌に水色のショートヘアが特徴の、眼力強めな派手ギャル。
『まずさっきアンタが言った通り、あたしは人魚の半妖で間違いないよ』
その正体は、私と同じく半妖の女の子。
最初はいきなり『氷の妖力をもつ妖怪に会いたい』って詰め寄られてビックリしたけど、彼女の辛い過去を知り、少しずつ私達の距離は縮まっていった。
そしてーー。
