雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「女子会っ!!」


 考えていると、まふゆが目を輝かせてそう言った。


「こういう恋バナしてスイーツ食べるのって、〝女子会〟って言うんだよね! 私初めて!!」

「わたしも! すごい楽しい! またしようよ!」

「うん! ね! カイリちゃんも!」

「え、あ……」


 ――――女子会。

 まさか当たり前のように、あたしまで数に入っているとは思わなかった。


「……うん」


 でも、それがなんだか無性に嬉しくて。
 いつの間にか勝手にそう、口が動いていた――。


 ◇


「……まるで〝海神の御成〟みたいに騒がしい奴らでしたね」


 先に家に戻るという父さんに手を振って、未だ遠ざかっていく方舟(はこぶね)を見つめる風花さんの背中に、あたしは声を掛ける。


「あははっ! 確かに〝台風一過〟言い得て妙ね」


 豪快に笑いながらも、その表情は慈愛に満ちていて、遠方に向かう娘を想っているのは一目で分かった。


「カイリ、昨日はティダでの最後の日(・・・・)だった訳だけど、楽しめた?」

「はい、パンケーキとても美味しかったです」


 ありがとうございますとお辞儀すると、風花さんはこちらを振り返って「ふふっ」と笑った。


「アンタに会えるのも次は体育祭の時(・・・・・)ね。優秀なバイトちゃんが旅立つのは寂しいけど、あっちではまふゆのことよろしくね」

「まぁ、よろしく出来るかは分かりませんが、善処します。それより急な転入(・・)なのに、全部便宜を図ってくれて、本当に風花さんには感謝してもしきれません」

「ふふ。いいのよ、そんなこと。わたしあの学校には〝強力なツテ〟があるから、カイリ一人転入させるくらい訳ないわ」


 なんてことのないように笑う風花さんだが、ティダで暮らす彼女にどうしてそんなツテが帝都にあるのか、疑問は尽きない。
 そもそも雪女(今は元がつくらしいが)でありながら、どうして南国のティダに来たのかも。

 けれどそれを紐解くのはあたしではないのだろう。少なくとも、今はまだ……。


「日ノ本高校で勉強頑張んなさい、カイリ」


 そう言って紫の長い髪を靡かせて微笑む風花さんは、まるでどこか国の女王様のようで。


 ――凛として、美しかった。



 番外 半妖三人娘のある日の昼下がり・了