『誰かと騒ぐのも、たまにはいいものよ』
恐らくはこれは、風花さんの気遣いなのだろう。
もしくはひとりぼっちのあたしを心配する、親心のようなもの。
更にはあたしに自身が雪女であることをずっと黙っていたお詫び……、であるのかも知れない。
であればその気持ちを無にするのは、普段とてもお世話になってる分、憚られる。
「そう、だな……」
だからまぁ、今日だけ。
これはわたしの意思じゃなく、あくまで風花さんの顔を立てる為。
「一緒に……食べる」
そう自分の中で言い訳して、あたしは二人に頷いた。
◇
「ふわぁぁぁっ!! フルーツ盛り盛り!! 生クリームも盛り盛り!!」
「パンケーキはプルップルに震えてるぅ!!」
満員という程ではないが、女性客で賑わう店内。
注文して間もなく、店長だという女性によって運ばれてきたパンケーキを見た瞬間、その見た目にまふゆと朱音は歓声を上げた。
ふるふると少しの揺れでも震える三段重ねのパンケーキに、どっさりのトロピカルフルーツと山のような生クリームが盛り付けられた、目にも華やかな一品。
これは確かに女子ならば、誰もが心くすぐられるだろう。
「きゃー食べるのもったいなーい! でも食べちゃう!」
「うーん! ふわふわ! おいひーっ!!」
きゃっきゃっと嬉しそうにパンケーキを頬張る二人の姿は、この辺りでもよく見かける、キラキラリア充そのものだ。
しかしそんな二人にも、〝半妖〟という重い背景があることをあたしはもう知っている。
「…………」
「? カイリちゃん、食べないの?」
「すごく美味しいよ?」
「あ、ああ! 食べるよ」
考え込んでいたら、つい手が止まっていたらしい。心配そうにこちらを見る二人に首を振って、あたしは慌ててパンケーキを一切れ、口の中に放り込んだ。
「……っ!」
すると途端に口いっぱいに広がるパンケーキの優しい甘さに、あたしは驚いて目を見開いた。
これが、〝若者の味〟……!!
