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屋台も一通り巡ってお腹も空いてきた頃、飲食出来るよう設置された休憩所に集まった私達は、屋台で買ってきたものをそれぞれ持ち寄り頬張った。
「ん~、サーターアンダギー美味しー」
「こっちは紅いも味だって」
「そんなモサモサしたの食べてたら喉乾くでしょ。ほら、こいつはわたしからの奢りよ」
するとお母さんが全員にビン入りの飲み物を配り、私と木綿先生以外がキョトンと目を瞬かせた。
「なんだこれ、炭酸? どうやって飲むんだ?」
「フタの下にビー玉があるね」
どうやら九条くん朱音ちゃんの妖狐コンビは元より、夜鳥くんと雨美くんもラムネは知らないようだ。
まぁどちらかというと庶民的な飲み物だし、みんなが知らないのも無理もないか。
「これはラムネって飲み物なんですよ。見ててください」
そう言って木綿先生がビンのフタを押し込めば、プシュという音と共にビー玉がビンの底に落ちて、シュワーと炭酸の良い音が響く。
「へぇー! ビー玉で飲み口が塞がれてたのか」
「どうやって押すの? こう?」
そうしてワイワイとラムネを開けるのにみんなが奮闘していた時だった。
下駄のカランコロンという音が近づいて来て、私達の前で止まる。
「アンタらは相変わらず騒がしいな。この人混みでも声が響いてたんだけど」
「え、カイリちゃん!?」
聞き覚えのある声に顔を上げれば、カイリちゃんが呆れたような顔でこちらを見ていた。
しかもその姿は……!
「わぁ! 水色に黄色いお花柄の浴衣だ! カイリちゃん、可愛い!」
「本当! その浴衣すごく似合ってる!」
私と朱音ちゃんが口々にそう誉めそやせば、カイリちゃんがプイとそっぽを向く。
「ホントうるさい。…………けど、ありがと」
小さく呟く頬はやっぱり赤らんでいて、相変わらずツンデレなその様子に私達はこっそり笑う。
「カイリちゃんも花火を見に来たの? あ、魚住さんも一緒?」
「いや、父さんは一緒じゃない。……これ、アンタ達に渡そうと思って」
そう言ってカイリちゃんが差し出してきたのは、一枚のチケット。
「ん? 花火大会特別観覧席……? え、これって!?」
みんなが一斉にカイリちゃんを見れば、彼女はバツの悪そうな顔をして言う。
