雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「? どうしたの?」

「あれはどういう屋台なんだい?」

「あれ?」


 視線の先を辿れば、大きな水槽に張られた水の中で、スイスイとたくさんの金魚が気持ち良さそうに泳いでいる。
 
 ああ、あれは……。


「金魚すくいだね。水槽の中の金魚をすくう遊びだよ」

「き、金魚すくい? ええっ!! 金魚をすくうの!?」

「へぇ、やってみたいな」


 私の言葉に九条くんのみならず、朱音ちゃんまでもが食いついて目をキラキラさせるので、思わず苦笑してしまう。
 どうやらこの二人は子どもの頃に体験するような遊びをしたことが(ほとん)ど無いようで、こういったお祭りに来るのも初めてなんだそうだ。

 彼らの生い立ちを考えれば無理もないが、なんだかとても切ない。
 ならば今日はたくさん満喫してもらおうと、私は浴衣の袖を(まく)って、早速金魚すくい屋に直行した。


「すいません、3人分お願いします」

「はいよ」


 私は屋台の店主にお金を払い、紙で出来たポイと器を受け取る。
 九条くんと朱音ちゃんにもそれぞれ手渡した。


「じゃあ私が実演するから、しっかり見ててね。ほら、こうやってポイが破けないように注意しながら金魚をすくって、そのまま素早く器に入れるの」


 言いながら金魚を一匹器に入れると、二人がワッと歓声を上げる。


「すごいっ! あっという間に金魚をすくった!」

「まふゆは本当になんでも出来るんだね」

「あはは……ありがとう」


 射的に引き続き、こんなことで尊敬の眼差しを向けられるのは微妙な気もするが、でも悪い気はしない。

 二人の楽しそうな笑顔を見て、私もクスクスと笑った。