九条くんが着ているのは、紺地にかすれ縞の入ったシンプルな浴衣だった。
だがそのシンプルさ故か、生来のスタイルの良さが引き立ってとてもカッコいい。
更にカッコよさに加えて色っぽさも増しているような気がして、ついポーッと見惚れてしまう。
するとそんな私の前へと九条くんが歩み寄って、私の姿をじっと眺めて言った。
「白地に青牡丹。さすが風花さんの見立てだ。まふゆにすごく似合ってる。それにまとめ髪のせいか、いつもより大人っぽく見えるな。綺麗だ」
「あ、ありがとう。……九条くんも、その……カッコいいよ」
直球で褒められて、上手く九条くんの顔が見れない。
しかしそれでもお礼を言おうと、ごにょごにょと私が呟く。
――その時だった。
突然あちこちから既視感のある生温かい視線を感じ、背中をゾゾゾッ! と悪寒が襲う。
「――――――っ!?」
それにハッと周囲を見渡せば、みんながニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてこちらを見ており、私の体温が羞恥で急上昇するのを感じた。
「ちょっ……!! 何みんなして同じ顔して、こっち見てんの!? ほら!! 早く行かないと、花火始まっちゃうからっ!!」
「おー怖。そっちがいきなり二人の世界に入ったんじゃんかねぇ。ま、いいわ。まふゆの言う通り、馬に蹴られない内に早く花火を見に行きましょっか」
「もう!! お母さんっ!!」
戯けたように言うお母さんに私が真っ赤になって叫べば、みんなが楽しそうに笑い出す。
――そうなのだ。
台風によって延期になって、早一週間。
ついに今夜、待ちに待った花火大会が開催されるのである!
