「で、何? マジで深夜のデートに来たとか?」
「ち、違うよ! 迷惑かなって思ったけど、カイリちゃんの様子が気になっちゃって……」
「はぁ? あたしが寝てたらどうした訳?」
「それならそれで安心っていうか、でもなんだかカイリちゃんはまだ起きてる予感がしたから……」
おずおずと私がそう言えば、カイリちゃんが呆れたような顔をして溜息をついた。
「ふぅ……、アンタってホントお節介だよね」
そうやって憎まれ口を叩きながらも、その頬は赤い。分かりやすい態度に思わず笑みが溢れる。
「何だよ、笑って」
「ふふ、ごめんね。カイリちゃん可愛いなと思って」
「はぁ!? なんだよそれ……」
クスクスと笑えば、ますますカイリちゃんの頬が赤く染まる。
そうしてその場に穏やかな空気が流れ始めた頃、私はカイリちゃんに気になっていたことを聞いた。
「……お父さんの釣り船はどうするの?」
「ひとまずは父さんの知り合いから、使ってない船を譲ってもらえることになった」
「そっか! よかったね!」
「ああ、よかった……」
パッと顔を明るくした私とは裏腹に、カイリちゃんの表情は複雑そうだ。
それに首を傾げると、彼女がポツリと呟く。
「……あたし、夢が出来たんだ」
「夢?」
「絶対に父さんに新しい釣り船をプレゼントするって夢。その為にいっぱい勉強して、たくさん金を稼いでやるんだ!」
「カイリちゃん……」
力強く言い切るカイリちゃんの大きな水色の瞳は、希望に満ち満ちていてとても眩しい。
「……そっか。いい夢だね」
だからこそ、私の中で躊躇いが起きる。
前に進もうとしているカイリちゃんにとって、私が今しようとしていることはやはり彼女の言う通り、〝お節介〟なのかも知れない……と。
