雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「森への侵入者を阻むか受け入れるかは、たぶん魚住さんの〝心〟が鍵になっているんだ。肝試しの時はコンテストを終えた後だったから、まふゆに対して彼女は少し心を開いていたんだろう」

「だから少しだけ、入り江への道が繋がった?」

「恐らくね」

「…………」


 カイリちゃんの心が鍵となって、入り江への道が拓かれる。
 もしそれが正しいのだとしたら、今目の前に広がっている光景が指し示す意味は――……。


「――行こう、九条くん」


 私は横に立つ九条くんを見上げて笑う。


「カイリちゃんが待ってる」


 ◇


 一本道を抜けた先にある入り江は、今朝方の荒々しい様子とは打って変わって、ザーンザーンと静かに波打つ音が響いて穏やかだ。

 そんな入り江の端、海にポツンと浮かぶ岩場の上に以前と同様、私達に背中を向けてひっそりと腰掛ける人影があった。


「――なんだよ、またアンタら二人して来たのか。ホント仲良いな」


 私達の足音に反応して、カイリちゃんが振り返る。どうやら今は人魚の姿ではないようだ。
 残念、あの綺麗な水色のヒレをまた見たかったのに……って! 何か今、聞き捨てならないことを言われたようなっ!?


「違っ! これは成り行きっていうか! 別に示し合わせて来た訳じゃ……!!」

「へぇー? 手まで繋いでんのに?」

「…………!!」


 カイリちゃんに指摘されて、私は今の今まで九条くんと手を繋ぎっ放しだったことに気がついた。

 あれぇ! まさか家を出た時からずっと繋ぎっ放しだった!? ウソでしょ!? めちゃくちゃ違和感なくて、繋いでたことすら忘れてたんだけどっ!?

 あわあわと真っ赤になって慌てて手を離せば、思いの外あっさりと九条くんも手を離してくれて、ホッとしたような残念なような微妙な気持ちになる。

 ――って、今はそれどころじゃないし!!