「幼いお主を残してこの世を去るのは無念だっただろう。しかし本来なら叶わなかったお主が成長していく姿を見届けられたのだ。我はお主の母が不幸だったとは思わん」
「…………」
「なぁ、カイリ」
海神様の言葉を受けても、俯いたまま何も発しないカイリちゃん。
そんな彼女の頭を魚住さんが優しく撫でる。
「オラと母さんは共に過ごせる時は僅かだと分かってて夫婦になった」
「父さ……」
「けどもカイリが生まれて、三人で過ごす時間は本当に幸せでなぁ」
「……」
そう言って目を細める魚住さんは本当に幸せそうだ。
未だ俯いたままのカイリちゃんを見て、柔らかに微笑む。
「だからな、カイリ。母さんが死んだのは自分のせいだなんて、頼むから絶対に思わないでくれ。お前は不幸どころか、たくさんの幸せを与えてくれた、オラ達の大事な宝なんだから……!」
「……っ、父さん!!」
真っ直ぐ伝えられる愛情。
それに堪えきれなかったのだろう。
ついに俯かせていた顔を上げて抱きついたカイリちゃんを、魚住さんは優しく受け止める。
「父さん、ごめん!! 危険な目に合わせた上に、船もめちゃくちゃにして……あたしっ……!!」
「いいんだべ、お前が無事ならそれで」
「ごめん……ごめんなさい。父さんがあたしを探してくれて、すごく嬉しかった。……父さん、ありがとう」
「カイリ……」
固く抱き合う父娘。
そんな二人の様子に私達の涙腺も潤み、そっと涙を拭う。
……よかった。
本当によかったね、カイリちゃん。
