思いがけない言葉に、カイリちゃんだけでなく私達までも目を見開く。
すると魚住さんの言葉を引き継ぐようにして、海神様の声が耳に響いた。
「人魚一族には陸の者と結ばれてはならぬという掟がある。これは海神である我が生まれる以前よりある絶対の掟。そして掟を破った者は、罰を受けて泡となりて消える」
「罰……? 泡って……」
「そんな……、じゃあ人魚一族が陸の者と決して交流しようとしないのはその為? そんな理由だったなんて……」
雨美くんは驚きのあまり言葉を失っている。
どうやら蛟と人魚は遠い親戚関係ではあるものの、掟のことまでは知らなかったようだ。
「本来であれば、お主の母は父と結ばれて間もなく泡となる運命であった。しかし既に腹にいたお主の持つ〝反射能力〟が母を罰から遠ざけ、生き長らえさせたのだ」
「あたしの力が、母さんを……?」
「そうだ。お主は物心つく以前より能力を使いこなし、母を守っていたのだ」
「まさか……」
カイリちゃんが信じられないと呟く。
そりゃあそうだろう。だって……、
『死んだんだ。……いや、あたしが母さんを死なせたんだ』
海神様の説明は、以前のカイリちゃんの話と全く逆なのだから。
「しかし罰は罰。緩やかであれど進行する。そしてお主は母の死を受け入れられず、いつしか自身の能力によって母が死んだのだと思い込むようになった」
「あ……」
まるで見てきたかのように、スラスラと語られる海神様の言葉。
やっぱり海神様はカイリちゃんを以前から知っているんだ。
それもきっと、彼女が生まれるずっと前から……。
